第2回討論会から見えた7つのポイント 米大統領選
2.トランプ氏、下品な発言は「ロッカールーム・トーク」だとやり過ごす
トランプ氏は討論会の冒頭で、自身の地位があれば女性を性的に乱暴することも許されるとした2005年のコメントが映像に収録されていた件をめぐり、対応を余儀なくされた。
トランプ氏は「あれはロッカールーム・トークだった」と釈明。「発言を誇りには思っていない。家族と米国民に謝罪する。誇りに思っていないのは確かだが、あれはロッカールーム・トークだ」と述べた。
問題の動画でトランプ氏は「性器をつかむ」と述べているが、司会者から実際にこうした行動に及ぶため女性に近づいた経験があるかと問われると、それは否定した。
クリントン氏は、動画での発言はトランプ氏の女性に対する見方や言動を示すものだと述べ、「これがドナルド・トランプ氏の姿だ」と切り捨てた。この機会を利用し、イスラム教徒やメキシコ移民らへのトランプ氏の過去の攻撃も批判した。
3.追及をかわしたクリントン氏
共和党の政治活動家の多くにとって目を引いたのは、各種の争点でのクリントン氏の弱みであり、そこにトランプ氏がどうつけ込むかだ。
だがトランプ氏は、内部告発サイト「ウィキリークス」により7日に公開された非公開講演でのクリントン氏の発言を引用しなかった。ビル氏がオバマ大統領の医療保険制度改革について、「世界で最もクレージーなもの」と評したコメントを取り上げたのも、トランプ氏ではなく司会者だった。
トランプ氏がクリントン氏に明確に打撃を与えたのは、公的な立場と私的な立場で「2つの顔」を使い分けるのは適切かと問われたときだった。クリントン氏はエイブラハム・リンカーン元米大統領を引き合いに出し、リンカーンは奴隷制を廃止するため、各議員に対し異なる主張を展開していたと指摘した。
これに対しトランプ氏は「うそだ。クリントン氏は自分のうそを偉大なリンカーンのせいにしている」と切り返し、「正直者のエイブ(リンカーン)は決してうそをつかなかった。それがリンカーンとクリントン氏の大きな違いだ」と述べた。
だがクリントン氏は、大きな打撃となりかねなかった各種の論争をめぐり、おおむね無傷で切り抜けた。冒頭でビル氏の不倫問題などをめぐりトランプ氏の激しい批判を浴びても、感情をほとんど表に出さなかった。
クリントン氏は討論会後、「予測していたものが多く来た」「トランプ氏が大統領や軍最高司令官となる資質がないと最初に言うのはこれが理由だ」と語った。