黒人死亡事件への抗議デモが激化、警察署に放火も 米ミネソタ州
(CNN) 米ミネソタ州ミネアポリスで警官に首を押さえつけられた黒人男性が死亡した事件を受け、現地での警察に対する抗議デモが激しさを増している。参加者の一部が警察署の建物に火を放つなどするなか、500人を超える州兵が派遣される事態に発展した。
警察署の周辺では前日まで2日連続で抗議デモが開かれていた。28日にも午後から大勢の人々が集まり、夜の10時半を回ってもなお参加者の勢いは衰えることがなかった。
警察は署の建物周辺にフェンスを作っていたが、数千人規模のデモ参加者がこれを突破。取り囲んだ建物の外側に火をつけた。
現場を取材したCNN記者は「建物の中で火災報知機が鳴っている。人々が歓声を上げ、花火が次々打ち上げられる中、警察署の建物が燃えている」と説明した。
ミネソタ州州兵はツイッターで、抗議デモが続くミネアポリスとセントポールを中心にした地域に向けて500人以上の隊員を派遣したと明らかにした。人々の命を守り、土地や建物を保護し、平和的なデモを行う権利を確保することが任務だとしたうえで、消防署が緊急対応を確実にこなせるようにすることも重要な目的の一つだと説明した。
ミネアポリス警察は午後10時過ぎ、火を放たれた建物から職員全員を避難させた。警察幹部の声明によると、デモ参加者らは当該の建物に無理やり侵入し、複数の場所に火をつけたという。火は建物の半分をのみ込むほど燃え広がった。
抗議デモの激化は他の州にも波及している。ケンタッキー州ルイビルの警察署の発表によれば、平和的に始まった同市での抗議デモは交通妨害や警官にビンを投げるといった過激なものに変わり、これまで車両や建物の破壊のほか群衆の中での発砲の報告も寄せられているという。
トランプ大統領はミネアポリスでの抗議デモについてツイートし、市長が「あまりに弱腰」で「リーダーシップのかけらもない」と批判。ウォルツ州知事に連絡し「略奪が始まれば、次に起こるのは銃撃だ」と、軍隊による鎮圧も考慮するよう促したことを明らかにした。