2009年にフーバーダムで見つかった人骨、15年後に身元判明 米

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フーバーダムの近くで遺骨が見つかってから15年後に身元が判明した男性/Mohave County Sheriff's Office

フーバーダムの近くで遺骨が見つかってから15年後に身元が判明した男性/Mohave County Sheriff's Office

(CNN) 2009年11月11日。米ネバダ、アリゾナ州境にある歴史的なフーバー・ダム近くの幹線道路で働く2人の建設作業員にとって、その日はごく普通の1日だった。現場で普通ではないもの、つまり人骨の存在に注意が向くまでは。

最初の骨に気付いた後、作業員らは周辺を探し続けた。すると骨が次から次に見つかったという。モハベ郡の保安官事務所が明らかにした。作業員たちはそれらを人間の骨と結論づけた。

緊急対応要員が引き続き調べたところ、さらに発見があった。赤いTシャツと日差しで色落ちしたジーンズ、破れた白いタオル、黒いスニーカーと緑色の寝袋。その後調査の規模を拡大すると、さらに人骨が見つかった。

見つかった品目はモハベ郡検視局に提出され、調査対象となったが、捜査官らは行き詰まった。それから数年にわたり、彼らは手掛かりを探したものの成果は無かった。

法医学遺伝子系図学で未解決事件の事実が明るみに

当局は22年2月、再度この事件に着手した。郡捜査官1人が被害者からの骨のサンプルを入手。サンプルはその後、アリゾナ州とテキサス州の研究施設に提出され、身元の確認が行われた。

ただあらゆる方法で確認しても結果は一様で特定に至らず。事件は迷宮入りした。

今年4月になって、モハベ郡の捜査官らはテキサス州にある遺伝子研究所オトラムから通知を受けた。同研究所は未解決の殺人事件や失踪事件の被害者の特定を専門に行う。通知の内容は、本事件を巡って法医学遺伝子系図学を使った捜査のための助成金が出たというものだった。

法医学遺伝子系図学を駆使すれば、未解決事件の手掛かりが得られる可能性がある。司法省によると、これは従来の家系図調査にDNA分析を組み合わせる手法だという。

実際オトラムが専門とする法医学遺伝子系図学こそ、この15年越しのパズルを解く上での足りないピースに他ならなかった。

10月、モハベ郡の捜査官は画期的な報告を受けた。それは身元不明者について、ミシガン州を拠点とする祖先の末裔(まつえい)であり、その祖先は19世紀半ばに生まれたと結論する内容だった。この発見から地道な捜査が行われた。捜査官らは身元不明者と血縁関係にあるとみられる複数の人物を突き止め、その所在を確認した。

一連の聴き取りの後、捜査官らはウィリアム・ハーマン・ヒエタマキという名の男性がきょうだいたちの下から1995年以降姿を消していることを把握した。失踪前、この男性は米南西部地方を旅行していたという。家族が明らかにした。

聴き取りをまとめ、その内容をきょうだいらと照らし合わせたところ、身元不明の人骨が上記のヘイタマキさんであることが確認できたと、法執行機関は述べた。

ヘイタマキさんは50年生まれ。ミシガン州のトラウトクリークで家族と共に育った。高校卒業までミシガン州で過ごすと、その後は米国内を旅行し始めた。ヒッチハイクが生活の土台だったという。

最後に家族に会ったのはニューメキシコ州で、95年に姉妹を訪ねたときだった。

調査の過程で、ヘイタマキさんはてんかん性の発作に悩まされていたことが分かった。遺骨の状態から死因を特定することは出来ないが、検視官は死亡年代を2006年から08年の間と推定した。

米ニューヘブン大学の研究によると、法医学遺伝子系図学が最初に登場したのは18年。ヘイタマキさんの失踪から20年以上後のことだ。以降、この手法が寄与して被害者の身元を特定出来た未解決事件は、全米で数百件に上る。

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