中国に広がる草の根運動、一党独裁の足元で育つ市民社会
こうした自発的な社会運動の先駆け的けとなったのは、韓東方(ハン・ドンファン)氏だ。1989年の天安門事件の際、中国初の自主労働組合を結成して注目を集め、以来、香港を拠点に労働運動を展開している。
同氏は「残念ながら、正式な労働組合は自分たちを政府の役人とみなしており、労働者を代表しているという意識はない」と指摘。そのため、労働者個人が自身で声を上げなければならない状況だという。
そんな中、孤立しがちな労働者の声を結集させる上で大きな役割を果たしているがソーシャルメディアだ。じん肺で苦しむ炭鉱作業員のような人々は従来、沈黙を余儀なくされてきた。しかし、ソーシャルメディアの普及で状況は激変したという。
中国政府は依然、共産党の方針に批判的な投稿を削除するなど、厳しいインターネット検閲を敷いている。ただ、ネット上での抗議の声の高まりを受け、市民社会とのオンライン対話に乗り出さざるをえない状況だ。