失踪の書店主、香港に戻る 拉致説を否定
香港(CNN) 中国の体制に批判的な書籍を扱う香港の書店関係者が相次いで失踪した問題で、香港自治政府は25日までに、書店主の李波氏が3カ月ぶりに香港に戻ったことを明らかにした。
李氏は24日、香港の出入国管理当局者に対し、書店の親会社の株主である桂敏海氏をめぐる捜査に協力するため中国に滞在していたと述べ、拉致されたわけではないとした。香港の出入国管理当局は李氏が香港を出た記録を示していない。だが李氏は、どうやって中国国境を越えたのかについては説明しなかった。
李氏はまた、香港警察に対し、「友人の支援を受けて自らの意思で自力で中国に戻った。拉致ではない」と供述。中国にいるあいだは自由で安全だったとしている。
李氏は英国の旅券を所持している。英国は李氏が「自らの意思に反して」香港から連れ去られたと主張。李氏の件は英中間の協定の「深刻な違反」にあたるとしていた。
李氏のほか書店関係者4人が失踪した件をめぐっては、同氏が自らの意思に反して中国の治安部隊により12月、香港から連れ去られたのではないかとの懸念から、香港や国際社会で批判の声が噴出。香港では大規模な抗議行動も起こっていた。
失踪した5人はいずれも、中国の指導層についてのゴシップ本を手がける「銅鑼湾書店(コーズウェイ・ベイ・ブックス)」と出版社「巨流(マイティ・カレント)」の関係者。このうち呂波氏と張志平氏の2人は3月上旬に香港に戻っていた。