米政権、新たな対ロシア制裁を発表 英神経剤襲撃を受け
ワシントン(CNN) 米国務省は8日、英国で今年起きた神経剤によるロシア人元スパイらの襲撃事件を受け、ロシアに新たな制裁を科すと発表した。化学・生物兵器の廃絶に関する1991年の法律に基づく措置としている。
国務省のナウアート報道官は声明で、今回の決定は6日に下したと説明。国際法に違反したとしてロシアを非難し、制裁発動は今月22日ごろになる見込みだと明らかにした。
3月に起きた事件では、ロシア人元スパイのセルゲイ・スクリパリ氏と娘のユリア・スクリパリ氏が病院に搬送され、神経剤襲撃に関する治療を受けた。ユリア氏は4月に、セルゲイ氏は5月にそれぞれ退院している。
国務省は今回、米連邦議会に対し、2段階になるとみられる制裁の第1段階について通知した。前出の法律に基づく措置で、ロシアが一定の対応を取らない限り、より厳しい2段階目の制裁を科す必要が出てくる。
第1段階の制裁では、軍事転用可能なロシアへの輸出品が対象となる。こうした機微な製品については通常、輸出前に案件ごとの審査が行われるが、今回の制裁にともない推定で一律に輸出禁止となる見通し。
米国はそのうえで、将来も含めた化学・生物兵器の使用中止などを90日以内に確約するようロシアに求める方針。
当局者によれば、ロシアがこうした要求に応じない場合、同法で定められた2段階目の制裁を発動するかどうか検討する必要が出てくるという。