UAE、米とのF35購入協議を停止 中国技術の制限に難色
UAE・アブダビ(CNN) アラブ首長国連邦(UAE)は14日、米国製F35戦闘機の購入に向けた協議を停止すると明らかにした。米国がUAEへの中国製技術の売却を制限しようとしていることへの苛立ちの表れとみられる。
UAE当局者はCNNの取材に、「米国に対してF35調達に向けた協議を中断すると通知した」と説明。技術的な要件や独自運用の制限、費用対効果の分析を踏まえ、見直しに至ったと明らかにした。
この当局者はさらに、米国は依然UAEにとって高度防衛装備品の優先供給国であり、将来的にF35に関する協議を再開する可能性もあると述べた。
一方、米国務省は、ホワイトハウスはこの取引に引き続き「注力」していると説明した。米国製武器の売却はUAEとイスラエルが2020年8月に結んだ国交正常化合意の要になると見られていたが、その後、米国の政治家から懸念の声が上がり難航している。
国防総省のカービー報道官は14日、米国はUAEと協力して両国の懸念に対処する用意があると表明。「米国とUAEのパートナーシップは一回の武器売却を超える戦略性と複雑性を持つ」と述べた。
前日にはイスラエルのベネット首相がUAEの首都アブダビで、同国の事実上の指導者ムハンマド・ビン・ザイド皇太子と会談していた。イスラエルの指導者によるUAE公式訪問は初めて。
米政府はUAEに対し、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)を通信網から排除するよう繰り返し要請し、こうした技術が米国の兵器システムに安保上のリスクを及ぼす可能性があると主張してきた。
一方、UAE当局者は機密漏えいの可能性に関する米国の主張に懐疑的であり、最大の貿易相手国である中国と主要な戦略同盟国である米国の間の「新冷戦」に巻き込まれることに懸念を示している。