ロシアのウクライナ産穀物封鎖は「真の戦争犯罪」 EU外交政策トップ
(CNN) 欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表は20日、ロシアによるウクライナ産穀物の輸出封鎖について「真の戦争犯罪」との認識を示した。そのうえでEUの対ロシア制裁は、ここまで世界的な食料危機にいかなる役割も果たしていないと付け加えた。
ルクセンブルクで開かれたEU外相会合に向かう際に、記者団に対して語った。ボレル氏は「欧州の制裁が今回の危機を生み出しているわけではない」と強調した。
国連によれば、ロシアの遂行するウクライナでの戦争の結果、4900万人の人々が飢餓もしくはそれに近い状況に追いやられる可能性がある。戦争が世界の食料供給や価格に壊滅的な影響を与えるためだ。
ボレル氏の発言に先駆け、ロシアのプーチン大統領は自国のウクライナでの行動のせいで世界的な食料危機が起きているわけではないと主張。米国こそが食料価格を引き上げる主体になっていると非難した。17日の「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム」での演説で語った。
「最貧国での飢餓は、米政権と欧州の官僚にとっての気掛かりとなるだろう」(プーチン大統領)
ボレル氏はEUの制裁について、食料や肥料を標的にしたものではないと反論。「想像もつかないことだが、数百万トンの小麦がウクライナ国内で封鎖される中、それ以外の世界各地では人々が飢えに苦しんでいる。これこそ真の戦争犯罪だ」と、ロシアを非難した。
一方で食料危機が「あまりにも長い間」続くとは考えていないとも付け加えた。国連がロシアと早急に合意し、ウクライナ産穀物の輸出封鎖が解除されることに期待感を示した。