ロシア軍の死傷者数は10万人超 米軍トップ
(CNN) 米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は9日、ロシア軍はウクライナでの戦争の結果、10万人以上の死傷者を出したと述べた。ウクライナ側の死傷者数も同様の水準の可能性が高いとした。
ミリー氏はエコノミック・クラブ・オブ・ニューヨークのイベントで発言し、ロシアによるウクライナ侵攻を「とてつもない戦略的失敗」と形容。ロシアが「今後、何年も代償を支払うことになるだろう」との見方を示した。
ロシアによるウクライナ侵攻は今年2月に始まった。戦争によって多大な人的被害が出ており、避難民は1500万~3000万人に上るほか、罪のないウクライナの民間人約4万人が死亡したという。
ミリー氏は、冬の間に前線が安定すれば、戦争終結のための交渉の機会が生まれる可能性があるとの見通しを示した。
ミリー氏は「交渉の機会があり、和平の実現が可能なら、その機会をつかめ」と語った。
もし交渉が実現しなかったり決裂したりした場合は、どちらの側にとっても完全な軍事的勝利の可能性がますます小さくなったとしても、米国はウクライナへの武器供与を継続するとした。
ミリー氏は「本当の意味での軍事的勝利が軍事的な手段では達成できないかもしれないため、他の手段に目を向ける必要があるという相互認識が必要だ」と語った。
ミリー氏によれば、米国は、ロシア軍がヘルソン州から発表通りに撤退していることを示す最初の兆候を目撃している。しかし、2万~3万の兵士をドニプロ川西岸から撤退させるには、数日かあるいは数週間かかる可能性があるという。
ミリー氏は、ロシア軍撤退の動きについて、まだ分からないものの、兵力を温存してドニプロ川の南に防衛線を再構築するためのものではないかとの見方を示した。