英・EU、北アイルランドにおける通商ルールで新たに合意
ロンドン(CNN) 英国と欧州連合(EU)が北アイルランドにおける新たな通商ルールで合意した。北アイルランドでの通商をめぐっては、英国のEU離脱以降、対立が続いていたが、今回の合意によって難題の解決を目指す。
今回の合意は、北アイルランドでの輸入や国境での検問の問題の解決につながる可能性がある。これは、英国のEU離脱で生じた最も困難で物議を醸した問題のひとつ。北アイルランドは英国の一部ではあるが、EU加盟国のひとつであるアイルランドと陸路で国境を接している。
英国のスナク首相は、ロンドン郊外のウィンザーでの記者会見で、今回の合意を「ウィンザー枠組み」と呼び、英国内での円滑な通商を実現し、英国における北アイルランドの地位を守り、北アイルランドの主権を保護するものだと述べた。
EUのフォンデアライエン欧州委員長は、英国のEU離脱以降の英国とEUとの緊張関係を認めた。フォンデアライエン氏は、英国とEUが提携関係を最大限に活用するためには新たな解決策が必要だと述べた。フォンデアライエン氏はウクライナに対する英国とEUの協力関係に言及し、「我々は互いの懸念に非常に注意深く耳を傾ける必要がある」と語った。
今回の合意では、2019年に当時のジョンソン英政権とEUとの間で合意した「北アイルランド議定書」と呼ばれる取り決めで生じた問題の解決を目指す。同議定書は、国境管理が厳格な「ハードボーダー」が導入されることを阻止するために策定されたもので、アイルランドと北アイルランドの間の物品の流通について通関手続きを必要しないとしている。
北アイルランド議定書は理論上、国境インフラの必要性をなくすことを意図していた。北アイルランドはEUの規制の中にとどまり、英国から北アイルランドに入る物品は到着前に検閲を受けることになるが、これは、事実上、海上に国境を設けることを意味していた。