福島原発の処理水海洋放出、安全性を「完全に確信」 IAEA事務局長
東京(CNN) 国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は7日、放射性物質を含む処理水を海洋放出する日本の計画は安全であり、2011年の福島原発事故後にたまった大量の廃水を処理するには他に選択肢がないとの見解を示した。
訪問先の東京でCNNのインタビューに応じた。放出計画をめぐる懸念は「ごく合理的な不安感」を映したものであり、真剣に受け止める必要があるとしつつも、「我々の結論には妥当な根拠があると完全に確信している」と述べた。
さらに「我々は2年以上にわたってこの基本方針を検証し、存在する最も厳格な基準に照らして評価してきた」「自分たちの発言の内容や、提案した計画については確信がある」と述べた。
日本は今夏のどこかの時点で廃水を放出する方針で、福島原発事故から12年が経過した中で物議を醸している。日本当局とIAEAはこの計画について、国際的な安全基準に即していると主張。水はまず特に有害な汚染物質を除去する処理が行われ、大幅に濃度を薄めた形で長い年月をかけて徐々に放出される。
ただ、市民の間では不安が根強く残る。韓国や中国、太平洋島しょ国のような近隣諸国からも、環境や人々の健康に対する潜在的な危険性について懸念の声が上がっている。
グロッシ氏はCNNに対し、漁業団体や地元の首長、11年の事故の影響を受けた他のコミュニティーと会談を重ね、そうした懸念の声に耳を傾けてきたと説明。「耳を傾け、すべての懸念に対処する形で説明するのが私の性分だ」と語る。
グロッシ氏は4日、安全性に関するIAEAの調査結果を岸田首相に正式に提出した。報告書では廃水の放出計画について、人間や環境への影響は「無視できる程度」だと指摘。報告書は推奨や支持を示すものではなく、「透明性を確保した独立調査」だとしている。