ディーゼル車の排ガスでサルを使った実験 独メーカーが委託
ロンドン(CNNMoney) ドイツの大手自動車メーカー3社が出資した研究で、ディーゼル車の排ガスをサルに吸わせる実験が行われていたことが分かり、波紋を呼んでいる。
問題になっているのは、フォルクスワーゲン(VW)、BMW、ダイムラーと部品メーカーのボッシュが共同で設立した研究機関が委託し、米ニューメキシコ州アルバカーキのラブレース・レスピラトリー研究所が実施した実験。
米紙ニューヨーク・タイムズが先週最初に報じ、米動画配信大手ネットフリックスのドキュメンタリーでも取り上げられた。
新型ディーゼル・エンジンの排ガスが旧型よりクリーンだということを示すための実験だったが、使われたVW車には排ガス検査を通すための不正ソフトが搭載されていた。この不正が発覚して重大な不祥事が明るみに出たために研究は中断され、結果も公表されなかった。委託元の研究機関は昨年6月に閉鎖された。
VWは29日、「研究の科学的方法が間違っていた。実施するべきではなかった」とする声明を出した。
VWの不祥事をめぐる裁判の中で、この研究を率いた責任者が実験の内容などを証言したところによると、サルは数時間に及んだ実験の間、アニメを見せておとなしくさせたという。同責任者は、実験の時点で不正ソフトの問題を知らなかったと述べた。
ダイムラーは実験を非難し、メルケル独首相の報道官も「倫理的にいかなる正当化もあり得ない」と述べた。
ドイツは動物実験の制限が欧州諸国の中でも特に厳しく、サルを使った実験はほぼ全面的に禁止されている。米国はこれに比べて規制が緩く、米農務省によると人間以外の霊長類を使った実験が年間に数万件実施されている。