ハイパーループ、中国に進出 10キロの路線建設へ
(CNN) 米ハイパーループ・トランスポーテーション・テクノロジーズ(HTT)は21日までに、中国貴州省で超高速輸送システム「ハイパーループ」の試験路線を建設する契約を結んだと発表した。中国でハイパーループの契約が締結されたのは初。
ハイパーループは米起業家のイーロン・マスク氏が2013年に初めて構想を発表した。低圧状態にして摩擦をほぼゼロに抑えたチューブの中を、時速約1000キロで人や貨物を輸送できる。乗り物には気密カプセルを使用する。
今回の合意は、HTTと貴州省銅仁市の輸送・観光関連投資団体との間で結ばれた。まずは10キロの試験路線を建設する。
HTTのメディア担当責任者は10キロという距離について、「路線延長の前にシステムと旅客の最適化を図るうえで必要な出発点」と説明。ハイパーループ・システムの正式な合意の中では、現時点で最長の距離だという。
HTTは今年前半にも、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビやウクライナとハイパーループをめぐる合意を交わしていた。4月には、フランス・トゥールーズで最初の路線の建設を開始。第一段階として320メートルのシステムの設置などを予定している。
試験路線は銅仁の山がちな地形に10キロの長さで建設
中国で課題となるのは銅仁の山がちな地形だ。銅仁は異彩を放つ山脈の光景とカルスト地形で知られる。HTTにとっては、建設手法や技術を洗練させるうえで良い試金石になりそうだ。
前出のメディア責任者は「難しい面はあるだろうが、現行の技術で十分に対応可能だ」としている。
貴州省は中国でもめざましい発展を遂げている地域の一つで、ここ数年はインフラ刷新に1000億ドル以上を投じてきた。アップルやアリババ、アマゾンといった国内外の多くのIT企業が拠点にしている。
スケジュールや設置路線などの詳細は今後数カ月で決定する。将来的には400キロ離れた省都の貴陽市と結ぶ路線の開設も考えられる。実現すれば、現在は飛行機で1時間、陸路で4~5時間かかる移動時間が20分に短縮されるという。