人工衛星を折りたたむ――着想源は「折り紙」から
ロンドン(CNNMoney) 英国の新興企業「オックスフォード・スペースシステムズ」(OSS)が、人工衛星などを軌道投入するのに必要なスペースを減らすべく新たな方法を考案した。着想源になったのは折り紙の繊細な技術だ。
OSSは2013年、マイク・ロートン氏が立ち上げた。ロートン氏は「スター・ウォーズ」や「スター・トレック」といったSFシリーズを見て育った「宇宙おたく」を自認している。
OSSは人工衛星向けに展開式のアンテナなどを設計・製造しており、独自技術によって、従来の宇宙技術で使われてきたものよりも軽く、場所を取らないという。
次なる一歩は打ち上げコストを減らすため、可能な限り小さなスペースに構造物を収納する方途を見つけることだ。
OSSはそこで古来の折り紙の技術に着想を求めた。
ロートン氏は「折り紙は数学に基づく部分が非常に多い。宇宙では予測可能性や、物体の振る舞いについての分析が好まれる。折り紙は構造物を折りたたむ優美な方法をもたらしてくれる」と話す。
宇宙船はアンテナにより地球との通信が可能となる。一般的にはアンテナが大きければそれだけ通信が効率的になる。
ただし大きなアンテナは重く、打ち上げ費用も高額だ。「このため、重量を0.5キロ減らせるというだけでも取り組んでみる価値がある」(ロートン氏)
同社の最初の製品は「アストロチューブ・ブーム」と呼ばれる延長装置で、16年に市場投入された。
ブームは人工衛星では科学実験設備などを展開するのに使われる。ブームにより実験設備を宇宙船から遠ざけて「きれいな宇宙空間」に延ばし、宇宙船の干渉を受けない良質な測定値を得る仕組みだという。
OSSは現在、宇宙技術の開発に注力しているが、別の業界からOSSが開発した装置に関心が寄せられることもあるという。ロートン氏は会社が拡大するなかでも革新的な企業文化を保っていきたい考えだ。