救命処置の女性に「土俵下りて」、相撲協会が「不適切」と謝罪
(CNN) 日本相撲協会は、京都府舞鶴市で春巡業を行った際、土俵上でのあいさつ中倒れた同市市長の応急処置にかかわった女性に対し、土俵から下りるよう促したことを謝罪した。大相撲では伝統的に女性が土俵に上がることを禁じているが、人命にかかわる状況でそうした価値観を優先させようとするのは不適切だとの批判が噴出していた。
春巡業中の4日、舞鶴市の多々見良三市長は土俵の上であいさつを行った際、突然その場に倒れた。複数の女性がとっさに駆け寄って応急処置に当たったところ、行司が場内アナウンスで「女性の方は土俵から下りてください」と繰り返し呼びかけた。女性らは市長に心臓マッサージを施すなどした後、呼びかけに従い土俵を下りた。
舞鶴市の広報担当者がCNNに明らかにしたところによると、市長は駆け付けた救急隊員によって病院に運ばれた。くも膜下出血と診断されたが命に別条はないという。同担当者は「応急処置に当たってくれた女性たちに心から感謝する。直接お礼を申し上げたい」と述べた。
女性たちが土俵に上がった際の映像が動画共有サイト「ユーチューブ」に公開されると視聴回数は100万回を突破。テレビのワイドショーでも取り上げられ、批判の声が相次いでいる。
ツイッターのユーザーの1人は「1秒を争う状況で信じられない発言」と行司のアナウンスを非難。別のユーザーも、大相撲のイメージを傷つけかねないと懸念を示した。
日本相撲協会の八角理事長は談話を発表し、今回の問題について「行司が動転して呼びかけたものでしたが、人命にかかわる状況には不適切な対応でした。深くおわび申し上げます」と謝罪した。