豪カトリック教会、児童虐待「告白」の報告強制を受け入れず
(CNN) 聖職者による性的虐待の問題で揺れるオーストラリアのカトリック教会は31日、教会内で告白された児童虐待について、その内容を当局に報告するよう義務付けるべきとした政府の審議会の勧告に対し、これを受け入れないとする見解を示した。告白という行為が持つ神聖性を保持する必要があるためとしている。
教会側は記者会見を開き、審議会が示した教会の改革のための勧告のうち「98パーセント」を受け入れる意向を表明。一方で、聖職者らが宗教行為として告白した虐待内容の報告を強制することは、宗教の自由の侵害に当たるため拒否するとした。
カトリック教会をめぐっては、米国やオーストラリア、南米で、虐待の事実並びにその隠蔽(いんぺい)が発覚するスキャンダルが相次いでいる。豪教会による今回の勧告の拒否は、世間の信頼回復を図るカトリック教会にとって大きな障害が残ることを意味する。
オーストラリアでは「子どもの性的虐待への組織対応に関する王立委員会」が5年以上の期間をかけて8000人を超える人々から非公開での聞き取りを実施。その結果、国内のカトリック教会の司祭の7%前後について、1950年から2015年の間に子どもへの虐待に関与した疑いがあることを明らかにしていた。一部の団体ではメンバーの4割以上に虐待疑惑が浮上しているという。
国内の慈善団体の代表を務めるレオニー・シーディー氏はCNNの取材に答え、今回の教会側の姿勢を批判。国民はカトリック教会に「うんざりしている」としたうえで「カトリック教会が子どもたちの安全を最優先事項とみなしていないのは恐ろしいことだと思う」「我々は教会法の下で生きているわけではない」と不信感をあらわにした。