無人機保有広がり70カ国以上に、軍拡やテロ組織入手の懸念
米国のブッシュ前政権が11年前にテロとの戦いを宣言した際、米国防総省が保有していた無人機は50機以下だが、現在は約7500機に膨張した。武装した無人機が出動したのは01年の11月中旬が初めてとされ、アフガンで国際テロ組織アルカイダの軍事司令官を殺害した。
米国の無人機は現在、パキスタンやイエメンに配備され、過激派幹部の追跡、殺害の主役とも化している。ニュー・アメリカ・ファンデーションの統計によると、パキスタンのイスラム過激派を標的にした無人機攻撃では過去8年、1900~3200人を殺害した。
無人機の開発技術も急速に進展し、広まっている。11年の報告書によると、各国政府や一般企業、研究所らが手掛ける開発計画は約680件。05年の195件からは大幅増となった。
輸出も盛んで、米国のゼネラル・アトミックス社は10年に輸出許可を受け、無人機「プレデター」の非武装仕様機をサウジアラビア、エジプト、モロッコとアラブ首長国連邦(UAE)に売却。今年3月にはイタリアが保有する無人機「リーパー」の武装化に応じたが、武装したプレデターをトルコに売ることは拒絶した。トルコはこれを受け、自前の無人機開発を発表している。
無人機や関連技術の世界最大の輸出国はイスラエルだ。同国の国営企業はナイジェリア、ロシアやメキシコを含む広範な国へ売却している。各国が協力しての無人機開発も進んでおり、スウェーデン、ギリシャ、スイス、スペイン、イタリアとフランスの航空関連の国営企業による事業は最新鋭の無人武装機の試作品完成への最終段階にある。