宇宙ごみ対策に新構想 銛を打ち込み牽引、大気圏で燃やす
(CNN) 宇宙空間を猛スピードで漂い、人工衛星や宇宙船を脅かす宇宙ごみ。そのごみに銛(もり)を打ち込んで捕まえようという計画が、ドイツ・ダルムシュタットの欧州宇宙機関(ESA)のセンターで22日から始まる国際会議で話し合われる。
地球軌道を漂う衛星などの残骸は、数が増えるにつれて危険性が高まっており、会議ではこうした宇宙のごみ対策がテーマになる。
宇宙ごみに銛を打ち込む計画は、宇宙開発企業のアストリアムが打ち出した。プロジェクト責任者のジェイミー・リード氏は、衛星の残骸が別の衛星に衝突すれば、その衛星が破壊されるだけでなく、残骸が増えて問題が一層深刻化すると警告。「軌道上には、こうした危険を生じさせかねない宇宙ごみが6000トンも存在する」と解説する。
携帯電話のGPS(全地球測位システム)機能や通信、テレビ放送、天気予報といったサービスに使われている人工衛星も、宇宙ごみに衝突される危険があり、そうなれば日常生活に影響が及びかねないとリード氏は言う。
アストリアムの計画では、こうした残骸を無人宇宙船で追尾し、銛を打ち込んで捕獲。ロープに取り付けた小型推進装置を使って牽引(けんいん)し、大気圏に突入させて燃え尽きさせる計画だ。このシステムは英国の研究所で実験が行われており、リード氏がESAの会議で24日に実験結果を報告する。
リード氏の推計では、1回のミッションにつき10個のごみを処理できる見通しで、年間5~10個を除去できれば、ごみの数を「安定数」に持ち込めるという。同氏は次の段階として、小型の物体をキャッチする実証実験を行いたい意向だ。