フライドチキンの「密輸」が盛況 パレスチナ自治区ガザ
(CNN) 米ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)のチキンが地下トンネル経由でエジプトからパレスチナ自治区ガザ地区に「密輸」され、同地の食卓に上っているという。
米紙クリスチャン・サイエンス・モニターなどの報道によると、チキン配達ビジネスを展開しているのは、パレスチナで数年前に開業した食品配送業者の「アルヤママ」。
KFCのチキンを口にした同社の従業員が、エジプトの知人に取り寄せを依頼。ガザ地区とエジプトを結ぶ地下トンネルを使って配達するサービスを始めた。このトンネルは、イスラエルが規制している武器や自動車などの物資をガザに送り込む目的で使われている。
エジプトからのフライドチキン輸送には約3時間を要する。それでも欧米のファストフードチェーン店がないガザでは歓迎されているという。
イスラエルからガザへの禁輸措置緩和などの影響で、地下トンネルの利用料が下がったことも追い風になった。トンネル運営業者によれば、かつてこうした食品を持ち込むには200ドルはかかっていたが、現在は20ドル程度で済むという。
それでもガザで食べるチキンは容器1杯分で約30ドルにもなり、エジプトの約3倍に跳ね上がる。アルヤママは交流サイトのフェイスブックでこのサービスを宣伝し、30個以上の注文が入るとトンネル経由でチキンを仕入れる。チキンのほかにポテトやコールスロー、アップルパイなども注文できるという。
ガザの住民はクリスチャン・サイエンス・モニターの取材に対し、「KFCを食べるのが夢だった。この会社のおかげで夢がかなった」と語っている。