ライトセーバーが現実に? 「光の分子」形成に成功 米研究
(CNN) 映画「スター・ウォーズ」に登場する光の剣「ライトセーバー」のような性質を持った光物質に関する研究が、科学誌サイエンスの今週号に掲載された。米マサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学の研究チームは、光をくっ付けて分子を形成することに成功したと発表した。
光を構成する光子は、一般的な物質のように検知可能な質量は持たず、互いにくっつき合うこともない。レーザー光線を交差させれば光子は互いの間を突き抜ける。
しかし物理学者のミハイル・ルーキン氏らのチームが作り出した光粒子は、従来の光の挙動と異なり、ライトセーバーのような性質を持つという。
ルーキン氏らのチームは、金属の一種であるルビジウムの原子を真空空間に送り込み、ここで形成された金属の雲をレーザーで絶対零度に近いマイナス約268度まで冷却して、原子をほぼ静止状態にした。
この原子の雲に光子を照射すると、通常の光のように突き抜けることなく、一般的な物質と同じように原子に衝突。この過程で光子が減速し、互いにくっつき合って分子を構成した。
この研究はライトセーバーの実現には直結しないかもしれない。しかしルーキン氏は、量子コンピューターと呼ばれるスーパーコンピューターの開発に役立つ可能性があると解説している。いずれは光の結晶を作り出すことも可能になるかもしれない。
この研究について極低温原子研究所の専門家は、これまで仮説の中にだけ存在していた光物質が現実に観測されたのは初めてだと指摘している。