現存する最古の「十戒」、9400万円で落札 米
(CNN) 現存するもので最古とみられるモーゼの十戒を刻んだ石板が17日、米国のオークションで85万ドル(約9400万円)で落札された。落札者の名は明かされておらず、規約によりこの後、公共の場に展示される見通しだ。
大理石製のこの石板は1913年、鉄道駅建設のためイスラエルの街ヤブネ近郊を発掘した際に見つかった。競売を手掛けた米ヘリテージ・オークションで古代遺物担当責任者を務めるデービッド・マイケルズ氏によれば大きさは縦横61センチ程度の四角形で、重さは52キロ。
十戒はサマリア語で刻まれており、サマリア人のシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝堂)か住居に飾られていた公算が大きいという。研究者らは文字の形状から、石板の製作年代をローマ帝国時代後期または東ローマ帝国時代に当たる紀元300~500年前後と推測している。
マイケルズ氏は「この石板の重要性は、十戒がもつ起源の深さと永続的な影響力の強さを証明している点にある。それはユダヤ教、キリスト教、イスラム教という3つの宗教の基盤を形作るものだ」と指摘した。
石板はその発見以来、地元のアラブ人や考古学者の手を経た後、2005年に米国人が購入し、ニューヨークのリビング・トーラー博物館の所蔵品となっていた。