銃によるけがの入院費用、年間780億円に 米調査
(CNN) 米国で銃撃事件に巻き込まれた人の入院費用は1年あたり7億ドル(約780億円)超に達するとの調査結果がこのほど、公衆衛生関連の医学誌で公表された。
調査によれば、銃器による負傷の財政的負担は2006年から14年の期間で66億1000万ドルに達した。しかもこれは初期の入院費用に過ぎない。
報告書の執筆者でスタンフォード大学准教授(外科)のトーマス・ウィーサー氏は「銃による負傷の入院費用は06年から14年にかけてわずかに増加しているが、大幅には増えていない」と語る。ウィーサー氏は、本当の問題はこうした入院に毎年7億ドルが費やされていることだと指摘する。
この金額には、再入院や自宅での治療、失職といった負担は含まれていない。銃関連の暴力に関する本当の長期的な金銭的負担については、さらなる研究が必要だ。
ウィーサー氏は、当局が集めている長期的な病院での医療に関するデータを調査した。ただし、入院する前に死亡したり、そもそも来院しない人も多く、そうした人たちのコストは含まれていない。
調査では06年から14年までに、26万7265人が銃関連の負傷で入院していた。初期入院の費用は年平均で7億3460万ドルに達した。低所得者向けの公的医療保険「メディケイド」による支払いが約3分の1で最も割合が高かった。自己負担の患者の割合が4分の1。高齢者向け公的医療保険「メディケア」や民間保険、寄付などによる支払いが残りを占めた。
ウィーサー氏は、銃によって負傷した患者に必要な医療費の把握が重要だと指摘。実際の費用が認識できるようになれば、銃に関連した死傷の軽減につながる政策の立案に関して、より率直な議論ができるようになるのではないかと語った。