オバマ大統領、対シリアの限定的な武力行使示唆
(CNN) 米政府は30日、シリア政府が21日にダマスカス郊外で化学兵器を使用したと結論付ける報告書を発表した。米政府によると、この攻撃で1429人が死亡、そのうち少なくとも426人が子どもだという。これを受け、オバマ米大統領は同日、シリアに対する限定的な武力行使を検討していることを明らかにした。
シリアへの軍事介入については、米議会内で民主、共和両党から、誤った情報に基づいて開始した戦争が泥沼化したイラク戦争と同じ過ちを繰り返すことにならないか、との懸念の声が上がっている。
この点について、オバマ氏は記者会見で「私は間違いなく、他の誰よりも戦争にうんざりしている」と述べた上で、シリアが今後、同様の違反行為を行うことを許さないという姿勢を示すために「限定的な武力行使」を検討しているとし、地上戦や長期戦につながる行為は行わない考えを示した。
オバマ氏は攻撃内容の詳述は避けたが、情報筋や専門家は、米軍艦から巡航ミサイルを使って、化学兵器の貯蔵庫を除くシリアの軍施設への攻撃が行われると見ている。
オバマ氏は、化学兵器の使用を禁じた「国際規範」違反を見過ごすことは、米国の安全保障上の利益に反すると指摘。化学兵器がテロリストの手に渡るリスクが高まる中、シリア政府の化学兵器による攻撃は米国の同盟国であるイスラエル、トルコ、ヨルダンを脅かす行為であり、「世界に対する挑戦だ」と批判した。