香港帰還の書店関係者、中国「特殊部隊」に拉致されたと告白
香港(CNN) 中国の指導層のゴシップ本を扱っていた香港の書店関係者5人が昨年相次ぎ失踪した事件で、香港に帰還した林栄基氏が18日までに記者会見し、中国本土に入った直後に「特殊部隊」に拉致されていたことを明らかにした。
林氏はこの中で、8カ月前に香港から中国本土に入った際に連行され、小さな部屋に拘束されていたと明かした。連行時には手錠をかけられ目隠しをされたとしている。拘束理由については当初、誰からも説明がなかったが、本土で禁止されている書籍を違法に売買した罪で起訴されるためだと後から伝えられたという。
また中国国営テレビで放映された「自白」の映像については、用意された台本を読み上げたものだとも指摘した。
林氏は今週初めに香港に戻っていた。書籍の販売先に関する情報を持って17日に中国本土に戻るよう指示されていたが、2晩にわたり考えた末、事件の経緯について声を上げることに決めたという。勇気のいる決断だったとしたうえで、「これは私や書店だけの問題ではなく、すべての人に関わる問題だと世界に訴えたい」と述べた。他の書店関係者とは異なり中国に家族がいないため、声を上げやすかったとも明かした。
中国外務省の華春瑩報道官は17日、林氏の件は「外交問題」ではないと指摘。「林氏は本土の法律を犯した中国国民であり、われわれには法律に従ってこの件に対処する権利がある」と述べた。
一方、香港行政府は声明で、事態把握のため警察が林氏に連絡を取る意向だとしたうえで、「すべての香港市民の個人の安全を重視している」と述べた。