中国が「ネット安全法」制定、企業や人権団体から批判集中
香港(CNNMoney) 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は7日、個人情報の保護やインターネット詐欺対策を掲げた「インターネット安全法」を採択した。これに対し、海外企業や人権団体から「ネットへの統制強化」だとする批判が集中している。
同法は「ネット空間で国家主権の原則を確立する」という目的の下に制定された。ネット接続業者に個人情報の収集を求めたり、中国内で得られたデータの持ち出しを禁止したりする条項が含まれている。
在中国米商工会議所のジマーマン会頭は声明で「中国の技術革新を後退させる一方で、セキュリティー向上にはあまり役に立たない法律だ。国家安全保障や情報共有にかかわる一部の規定はいたずらにセキュリティーを弱体化させ、個人情報を流出させる恐れがある」と批判した。
この法案をめぐっては、欧米やアジアのビジネス団体40組以上が今年8月、「情報セキュリティーを危険にさらし、中国をデジタル経済から切り離すことになる」として、李克強(リーコーチアン)首相に修正を要請していた。しかし、法案は問題視された条項を残したまま採択された。
国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は、国民の人権や言論の自由、プライバシーを侵害する「極めて厳しい」措置だと非難。企業に対して当局による監視への協力や、利用者個人情報の提出を強制する内容だと指摘した。
中国に進出している海外企業からはこれまでも、ビジネス環境の悪化を懸念する声が相次いでいた。新たな法律の制定により、その傾向に拍車がかかる可能性も指摘されている。