全米の過半数の郡が干ばつ災害地域に、作物の被害拡大 米農務省
(CNN) 米国を襲っている記録的な干ばつで、ビルサック米農務長官は1日、新たに12州の218郡を災害地域に指定したと発表した。これで全米の半数以上の郡が災害地域に指定されたことになる。被害はトウモロコシの生産地全体に拡大し、食料価格の高騰を招いている。
農務省によれば、牧場地のほぼ4分の3、牧草地の約3分の2が干ばつの被害地域に位置しており、米国内で作付けされた大豆は37%が先週の時点で不作とされた。これは1988年の干ばつ以来、最悪の状況だという。トウモロコシもほぼ半数、牧草などは57%が不作となっている。
特にトウモロコシはこの時期が受粉および実の形成期に当たることから、大幅な収穫減が予想される。7月17日の時点で干ばつに見舞われたトウモロコシ生産地は約88%に上っているという。
こうした事態を受けて、農務省は来年の食料価格が最大で4.5%上昇する可能性があると予想。同省の専門家は「過去25年で最悪の干ばつ」だと指摘している。
牛乳やチーズなどの乳製品も値上がりが予想され、飼料も高騰が見込まれる。アーカンソー州で牧場を営むマービン・ヘルムズさん(70)は、飼料不足のためにやむを得ず肉牛を売りに出したといい、「50年代にもひどい干ばつがあったが、今年ほどではなかった」と振り返る。「作物はある程度の保険がきくものの、つけは払い切れない」と肩を落とした。