イランへの経済制裁監視が麻痺状態、米政府閉鎖の職員不足で
(CNN) 米財務省当局者は6日までに、今月1日から始まった暫定予算の不成立に伴う米連邦政府機関の一部閉鎖の影響で、イランなどに打ち出している経済制裁を監視する同省部局の活動が全面的な麻痺(まひ)状態に陥っていることを明らかにした。
財務省の報道官はCNNの取材に、制裁の進捗(しんちょく)状況を追跡する同省の外国資産管理担当部門では職員のほぼ全員が一時帰休を命じられたと説明。この煽りで、イランのみならずシリアを支援する個人や団体に加え、テロ組織、麻薬密輸組織や大量破壊兵器の流出に関与する人物らへ新たな制裁を加える業務が中断しているという。
同報道官によると、政府機関の閉鎖が原因の業務の停滞はテロ組織の資金源や金融犯罪などを追う財務省内の他部局でも発生。結果的に、敵対勢力の資金源断絶、資金洗浄や違法金融の摘発に障害が生じ、米国の金融システムの安全性を守る努力を損ねていると主張した。
イランに対する経済制裁の効果を調べる専門家は、米政府機関の一部閉鎖は危険な時期に起きたと指摘。「経済制裁がイランに核計画を思いとどまらせる唯一の武器となっている中で、財務省職員の一時帰休の措置はタイミングが悪い」とし、イランの最高指導者に核開発で譲歩を迫ることなく制裁で一息つける余裕を与えていると述べた。
イランのロハニ大統領は今年8月の就任後、制裁解除をにらみながら欧米諸国への対話攻勢に転じ、核問題でも迅速な解決を呼び掛けている。オバマ米大統領はこれを歓迎しながらも、言葉より具体的な行動を求めイランへの圧力は維持する方針を示している。財務省による制裁監視の機能不全はこの外交方針の足かせともなる。
シャーマン米国務次官は3日、米上院外交委員会の公聴会でイランの最近の柔軟姿勢を受け経済制裁の一部緩和を検討する用意があることを表明していた。