シンセキ米退役軍人長官、一連の不祥事を受け辞任
ワシントン(CNN) 米国の退役軍人病院で時に患者の生命を脅かすほどの診療の遅れが生じていた問題で、エリック・シンセキ退役軍人長官は30日に辞任を発表した。
今回のシンセキ氏の辞任は、退役軍人省に対する批判と長官の辞任を求める声の高まりを受けたものだ。不祥事の発覚を受け、ここ数日、退役軍人の支持団体だけでなく、政界からもシンセキ長官の辞任を求める声が高まっていた。CNNは一連の独占報道で、複数の退役軍人病院で患者の生命に関わる診療の遅れが生じていた疑惑を明らかにしてきた。
診療の遅れの詳細は、CNNが昨年11月に南東部の2カ所の病院を取材した時に初めて発覚した。その後CNNは取材対象を他の退役軍人病院にも拡大し、アリゾナ州フェニックスの退役軍人病院で診療待ちの患者40人が死亡した際に重要な役割を果たした可能性がある秘密の順番待ちリストに関する詳細を突き止めた。
オバマ大統領は、シンセキ氏との会談直後にホワイトハウスで開いた記者会見で、シンセキ氏が、今週の報道で次々と発覚した広範な問題に対処するために、退役軍人省には「新たなリーダーが必要」と語ったことを明らかにした。
オバマ氏は「これはエリック(長官)が同僚の退役軍人の代表として下した判断であり、私も彼と同意見だ。われわれは(批判や報道で)気を散らしている暇はない。問題を解決する必要がある」と語った。
シンセキ氏は、退役軍人省の職員への別れのあいさつの中で、不祥事には触れなかったが、辞任は退役軍人たちの利益を考えた上での決断だと述べた。