米空軍、「戦車キラー」攻撃機を独に配備 ウクライナ危機
(CNN) 米国の欧州軍空軍司令部は14日までに、ウクライナ危機に伴う軍事的な対応措置の一環として、「戦車キラー」として知られる対地攻撃機「A10サンダーボルト」計10機をドイツのシュパングダーレム空軍基地に配備する方針を明らかにした。
配備は約300人の関係要員と共に2月末までに完了の見通し。同機の駐留期間は約半年とみられる。
同司令部の副司令官は声明で、米空軍は欧州安保への米国の約束は優先課題であることを欧州の同盟国やパートナー国に示すため欧州内での存在感を高めていると強調した。
A10型機は同基地の他、東欧のパートナー国にも派遣される見通し。米軍は過去1年の間、ウクライナ危機に絡みリトアニア、エストニア、ラトビアのバルト海諸国の他、ポーランドなどでも作戦を遂行している。
米軍の準機関紙「星条旗新聞」によると、同機の欧州配備は計21機がシュパングダーレム空軍基地に所属していた2013年5月以降行われていない。
地上軍の支援などに当たるA10は1970年代に開発されたもので、冷戦時代の旧ソ連の戦車や装甲車両の破壊などを想定していた。各種の爆弾、ミサイル弾や30ミリのガトリング砲などの兵器搭載が可能。
昨年末には米軍によるイスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の掃討作戦にも出動していた。米国防総省は2019年に退役予定のA10型機の対地攻撃能力は開発中の最新型戦闘機F35で代替可能としているが、標的の確認がしやすい低空、低速飛行などの利点を持つA10退役への反対意見も出ている。