トランプ氏、フセイン元大統領を称賛 「テロリスト殺した」
ノースカロライナ州ローリー(CNN) 米大統領選の共和党候補への指名が確定している実業家ドナルド・トランプ氏はこのほど、イラクの独裁者だったサダム・フセイン元大統領を評価し、フセイン政権を打倒すべきでなかったと発言した。
トランプ氏は5日にノースカロライナ州ローリーで行った演説で、米国はイラクを「不安定化させるべきではなかった」と述べ、続いてフセイン元大統領を称賛した。
「彼(フセイン)は悪いやつだった。本当に悪いやつだった。だが彼はよくやったのではないか? テロリストを殺した。実にうまくやった。(当時のイラクでは)テロリストに権利など読み上げてやらなかった。問答無用だった。連中はテロリストだ、それでおしまいだった。ところが今では、イラクはテロリストにとってのハーバード大学になっている」とトランプ氏は述べた。
この日の集会にトランプ氏を招いたのは、副大統領候補になる可能性が取り沙汰されているテネシー州選出のボブ・コーカー上院議員。コーカー議員は上院外交委員会の委員長を務めている。
トランプ氏は過去にも、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」が勢力を広げているイラクやリビアについて、もし独裁政権が続いていたら情勢は今よりましだったはずだと述べたことがある。また、フセイン元大統領がテロリスト殲滅(せんめつ)に腕を振るったと称賛したのも今回が初めてではない。
だがフセイン元大統領は国内の反体制派を弾圧して国際社会から非難を浴びた人物だ。また、世界各地のテロ組織に資金援助を行っていたことでも知られる。
共和党のポール・ライアン下院議長は5日夜のFOXニュースのインタビューで、フセイン元大統領について「20世紀で最も邪悪な人物の一人だ」との認識を表明。前出のトランプ氏の発言に対する違和感を示した。