サリドマイド薬害の独メーカーが50年後の謝罪 被害者は不満表明
(CNN) 1950~60年代に妊婦のつわり止めなどとして販売された医薬品「サリドマイド」による薬害について、メーカーの独企業グリュネンタールが8月31日、初の謝罪声明を出した。これに対して被害者団体の代表者は9月1日、十分でないとの立場を示した。
同社のハラルト・ストック最高経営責任者(CEO)は、本社のある独シュトルベルクで開いた被害者の追悼式典で「サリドマイドを原因とする被害に心から遺憾の意を表す」と述べ、被害者や母親ら家族の「心身の苦しみ」に言及。謝罪表明が50年近く遅れたことについても反省の姿勢を示し、沈黙は衝撃の表れだったと述べた。
ストック氏はまた、同社は当時、科学的知識と業界基準に基づいて新薬の試験を実施したものの、残念ながら副作用の可能性を検知することができなかったと説明した。
一方、被害者団体サリドマイドUKのフレディー・アストベリー代表は「謝罪を歓迎する」としたうえで、これまでに長い年月を要したことを改めて指摘。同社は謝罪するだけでなく、被害者に十分な補償を提供すべきだと主張した。
英国で70年代に設立された被害者支援団体サリドマイド・トラストによると、サリドマイドを服用した母親から生まれた子どもの一部には腕や脚の欠損のほか、心臓や聴力、視力、脳などの障害が現れた。
店頭販売されたドイツをはじめ世界各地で生まれた1万人以上の子どもたちのうち、7500人は幼いうちに亡くなり、現在生存している被害者は5000~6000人とみられる。