中国が抱える水問題 3億人が飲み水を入手できず、経済損失は1.8兆円
専門家の予測では、中国の水需要はやがて8180億立方メートルに達するが、供給可能量は6160億立方メートルに過ぎない。北京での1人当たりの水の供給可能量は100立方メートルで、国連が慢性的な水不足か否かの判断基準としている1人当たり1000立方メートルを大きく下回っている。
香港のNPO「チャイナ・ウオーター・リスク」の水問題専門家、デブラ・タン氏は、米国では1人当たりバスタブ125杯分の水があるが、中国では25杯分しかないと説明している。
世界銀行によると、中国では現在、安全に飲める水を入手できない人が3億人も存在し、そのために毎年約6万6000人が命を落としており、水質汚染によるコストは推計で220億ドル(約1兆8000億円)と国内総生産(GDP)の約1.1%にも達している。
中国政府は水不足解消のために30%の節水を目指しているが、目標達成は困難だと見られている。環境保護団体ネーチャー・コンサーバンシーのマシュー・ダーニン氏は、人口増加などによる水需要の増加や問題のさらなる深刻化を予測している。
中国で節水が進まない原因のひとつは、水不足にもかかわらず水道料金が安過ぎるためだ。
水問題専門家のタン氏によれば、水の85%を使用する工業および農業部門に的を絞って水の使用と水質汚染を減らすべきという。