英国人女性に死刑判決、麻薬密輸で インドネシア
(CNN) インドネシア・バリ島の裁判所は22日、大量のコカインを同国に持ち込んだとして麻薬密輸の罪に問われていた英国人女性に死刑を言い渡した。検察は禁錮15年を求刑していた。
死刑判決を受けたのは、英北東部出身のリンゼイ・ジューン・サンディフォード被告(56)。昨年5月にバリ島に入った際、スーツケースの中に4.7キロのコカインを所持しているのが見つかった。
国営アンタラ通信によると、判事らは被告に反省の色が全くみられないとして、求刑よりはるかに重い死刑を言い渡した。
被告の担当弁護士は「驚いている。死刑は予想もしていなかった」と話し、上訴の構えを示した。弁護側は、サンディフォード被告が家族の命を奪うとの脅迫を受けてコカインの包みを引き受けたと主張したが、裁判所は斟酌(しんしゃく)しなかったという。
英外務省はこの判決を確認したうえで、「英国はいかなる状況下の死刑にも反対する」との立場を改めて表明した。
インドネシアの法律は麻薬密輸に対して非常に厳しく、バリの税関当局は同被告が逮捕された時点で死刑の可能性があると警告していた。
英人権団体「リプリーブ」のハリエット・マカロック氏は、「被告が麻薬組織の中心人物ではないことは明らか。弁護士の費用はおろか、食料を買う金さえ払えない状況だ」と主張。被告が脅迫を受けたと主張していること、当局の捜査に全面的に協力したことなどを指摘して、判決に抗議した。