イタリア初の黒人閣僚に相次ぐ嫌がらせ、集会でバナナ投げる
(CNN) イタリアで黒人初の閣僚に起用されたセシル・ケンゲ移民融和担当相が、26日の集会でバナナを投げつけられる事件があった。ケンゲ氏は3カ月前に大臣に任命されて以来、極右勢力などから差別的な発言や嫌がらせが相次いでいる。
同氏の広報によると、中部チェルビアの集会で演説していたケンゲ氏に向かって、聴衆の中にいた男がバナナ2本を投げつけた。バナナは観客席に落ち、演壇には届かなかったという。
警察はバナナを投げた男の行方を追っており、ケンゲ氏の身辺警護は強化された。ケンゲ氏本人は短文投稿サイトのツイッターに、「飢えや食糧危機で死ぬ人がいるのに、食べ物を無駄にするのは悲しいことだ」と書き込んだ。
26日の集会では同氏が登場する直前にも、赤いペンキを塗ったマネキンが、「移民殺人」という脅迫文と共に見つかっている。
ケンゲ氏はアフリカのコンゴ(旧ザイール)出身で、1980年代にイタリアに留学し、市民権を獲得した。
閣僚への起用に対しては極右勢力や移民排斥勢力が反発し、2週間前には移民反対を唱える政党「北部同盟」のロベルト・カルデローリ上院議員がケンゲ氏を「オランウータンに似ている」と発言。同党関係者も差別的な発言を繰り返し、ケンゲ氏が同党の地盤地域を遊説した際には殺人の脅迫を受けている。
これに対してイタリアのレッタ首相は、直ちにこうした発言や嫌がらせをやめるよう北部同盟に要求した。