安倍首相がインド訪問、背後に中国の影
両国の貿易総額は年間200億ドルと、日中間の3400億ドルをはるかに下回ってはいるものの、インドは日本の開発援助の最大の供与先であり、双方とも経済関係の強化に積極姿勢を示している。
安倍首相は今回のインド訪問でシン首相と会談し、デリー・ムンバイ間産業大動脈構想や地下鉄ムンバイ・メトロといったプロジェクトへの支援や、救難飛行艇「US2」の輸出計画について話し合う。US2の輸出には中国が懸念を表明しているが、小野寺防衛相はインドでの記者会見で、「世界中に武器を輸出している中国」からの批判は筋違いとの見方を示し、「US2は兵器ではない」と強調した。
インド太平洋地域で日本の経済的、軍事的地位を立て直そうとする安倍政権に対し、中国は「歴史問題への態度を正せ」「戦争の過ちを反省せよ」と迫ってきた。安倍首相の靖国神社参拝も中国、韓国から強い反発を買い、中国外務省の報道官は首相が「中国との対話の扉を閉ざした」と非難した。
中国は日本とインドの関係強化を、米国が主導する「中国封じ込め」の一環ととらえている。オバマ米政権が提唱する「アジアへの軸足移動」は、中国の躍進を妨害するための手段だというのが、中国側の認識だ。