北アフリカのスペイン領、移民1000人超が殺到
(CNN) アフリカ北部、地中海に面したスペインの領土メリリャで、マリやカメルーンからの1000人を超える移民が不法入国を試みた件を受けて、スペイン政府は19日、警察官ら120人をメリリャに派遣した。
メリリャはモロッコの北東部にあるスペインの飛び地。18日早朝に両国の治安部隊が移民の越境を阻止しようとしたが、500人ほどが国境のフェンスを乗り越え、「勝った、勝った」と叫びながら移民収容施設に向かって走って行ったという。
当局によれば、これほど多くの移民が一度に殺到するのは2005年10月以来のこと。この時には1日で350人が越境した。
スペイン政府の推計では、メリリャともう1つの飛び地セウタに入境しようと集まっている移民の数は4万人。さらに4万人がスペインへの入国を目指し、モーリタニアとモロッコの国境近くに集まっているという。
スペインのフェルナンデス内相は6日、セウタを訪問。移民の大量流入はスペインだけでなく欧州全体の問題だとして、欧州連合(EU)に協力を呼びかけた。
現在、メリリャの移民収容施設には、定員の3倍を超える約1800人が滞在している。
18日の大量流入を受けてスペイン赤十字社は軍とともにテントを増設して収容施設の敷地を拡大。だが現地では、政府は近いうちに移民の一部をスペイン本土に移送せざるを得ないとの報道も出ている。
先月6日には、泳いでセウタに入境しようとした15人の移民が溺死するという事件が起きたばかり。人権団体からはスペイン警察が発砲したゴム弾が死因ではないかとの見方も出ているが、政府は移民を直接狙って撃ったものではないとしている。