ナイジェリア軍、襲撃を事前に察知か 人権団体が告発
ナイジェリア・アブジャ(CNN) ナイジェリアのイスラム過激派「ボコ・ハラム」が女子生徒276人を連れ去った事件で、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは9日、ナイジェリア軍は少女らが連れ去られる少なくとも4時間前に、ボコ・ハラムが少女らの通う学校に向かっていることを知っていながら、適切に対応できなかったとする報告書を発表した。
この報告書は、ナイジェリア軍幹部2人を含む10人以上の証言に基づいて作成された。アムネスティによると、ナイジェリア軍は同国北東部ボルノ州チボクの学校襲撃の情報を入手したにもかかわらず、対応に十分な数の兵士を集められず、15~17人規模の部隊とチボクのわずかな警官で対応したという。
また、ある軍幹部は、紛争地域で勤務する警官や兵士の間に不満や疲労が広がっており、「多くの兵士は最前線に行くことを恐れている」と述べたという。
これに対し、ナイジェリアのジョナサン政権は、政府の対応は適切だったとし、アムネスティの主張を強く否定している。
同国のラバラン・マク情報通信相は、アムネスティの主張について調査すると約束したものの、勤務中の兵士が学校襲撃の可能性に対処しないことは「ありえない」と語った。また防衛省も、軍が最初に得た情報はチボクの学校が襲撃されているというパトロール中の兵士からの報告で、4時間前に襲撃の情報を入手した事実はないとしている。
しかし、集団誘拐に対する国際的な非難が広がる中、ナイジェリア政府の対応を疑問視する声が高まりつつある。
ナイジェリア政府は、集団誘拐の直後に兵士、ヘリコプター、飛行機を出動させ、対応したとしているが、ボコ・ハラム2人の娘を誘拐された父親はCNNのインタビューに対し、襲撃後に軍に支援を要請したが、政府や軍の関係者は1人も姿を見せず、事件から21日たっても何も行われていないと語った。