中国、ベトナムから自国民退避を加速 南シナ海での対立で
香港(CNN) 中国の国営新華社通信は18日、ベトナム内での反中デモの高まりを受け、これまで3000人以上のベトナム在住の中国人が同国外へ退避したと報じた。デモは、ベトナムが領有権を主張する南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島近くでの中国企業による石油掘削作業の着手が誘因となった。
新華社は中国の交通運輸省の情報として、船舶5隻をベトナムに送り、より多数の中国人の出国支援に当たると伝えた。船舶の1隻は既に海南島(省)から出港した。
新華社によると、中国系の工場を襲うなどしたデモで中国人2人が死亡、100人以上が負傷した。重傷を負った16人は18日朝、中国当局が手配した医療専門機でベトナムから離れた。
今回のデモは特にベトナム中部ハティン省で激化し、中国や台湾系の工場を中心とする外国資本の工場での放火や略奪が続いた。中国当局はベトナム政府に対し再三、デモに伴う暴動鎮圧、中国人保護や被害者への支援を要求した。
ベトナム内でのデモ活動は通常禁じられているが、当局は今回、黙認の姿勢を示した。ただ、工場襲撃などの過激行動の発生後、規制に乗り出している。
国営ベトナム通信(VNA)は17日、チャン・ダイ・クアン公安相の発言を引用し、デモなどに絡み容疑者数百人を逮捕したと伝えた。デモ規制の警官数十人が負傷したとも報じた。
一方、パラセル諸島近くでの両国船舶のにらみ合いに緩和の兆しはなく、ベトナム通信は17日、中国側はパラセル諸島近くに設置した海上油井設備周辺への軍用船を増強させたと伝えた。