仏教集団がイスラム教徒を襲撃、55人死傷 スリランカ
コロンボ(CNN) スリランカ南西部沿岸のアルトゥガマで、仏教過激派集団がイスラム教徒の居住地区を襲撃し、少なくとも3人が死亡、52人が負傷した。警察や国連人権高等弁務官が明らかにした。
警察によると、同地ではこの数日前、僧侶がイスラム教の若者4人に襲われる事件が発生。これを受けて15日、僧侶が率いる仏教民族主義集団がアルトゥガマで大規模集会を開いた。
参加者は集会後にイスラム教徒の居住地域に向けてデモ行進し、双方が衝突してイスラム教徒の住居や商店が破壊され、住民はモスクに避難した。
警察はこの事件に関連して、多数派民族シンハラ族の12人を逮捕した。逮捕者の中には仏教集団のメンバーも含まれるという。
アルトゥガマと隣接するベルワラには軍が配備されて外出禁止令が出され、路上や公共の場での集会が禁止された。17日には禁止令が緩和され、住民が外出できるようになっている。
国連のピレイ人権高等弁務官は、「同国内の他のイスラム地域にも暴力が広がることを懸念する」と述べ、スリランカ政府に対して関係者の逮捕や憎しみをあおる言動の抑止、少数宗教の保護のために全力を尽くすよう促した。
ボリビア訪問中のスリランカのラジャパクサ大統領は、ツイッターに「法をもてあそぶ者は容認しない。全関係者に自制を求める」と投稿した。
2011年の国勢調査によると、スリランカの人口は70.2%を仏教徒が占め、ヒンドゥー教が12.6%、イスラム教9.7%、キリスト教7.4%。数年前から仏教民族主義が台頭していた。