安楽死のためのスイス渡航者、5年で611人に
(CNN) 安楽死する目的でスイスを訪れた「自殺旅行者」が2008~12年の5年間で611人に上ることが、スイス・チューリヒの法医学研究所がまとめた実態調査で明らかになった。
それによると、旅行者611人は31カ国からスイスを訪問。特にドイツと英国からの旅行者が多かった。
英国では死ぬ権利を訴える6団体が年間約600人の自殺を手助けしており、うち150~200人が自殺を目的に渡航しているという。
611人のうち58%は女性で、年齢は23~97歳、平均年齢は69歳。半数近くが神経疾患を抱えていたほか、がん、リウマチ、心臓疾患など複数の疾患を持つ人も多かった。
安楽死では4人を除く全員が鎮静麻酔薬のペントバルビタールナトリウムを投与され、大半にスイスの死ぬ権利を訴える団体がかかわっていた。
自殺を目的とした旅行者の数は2008年の123人から09年には86人に減少した後、09~12年の間に172人へと倍増している。
回復の見込みのない患者や多大な苦痛に見舞われている患者に対し、医師が安楽死を手助けすることを認めるかどうかを巡っては各国で論議が交わされてきた。
スイスでは医師の間の倫理規定はあっても、幇助(ほうじょ)自殺の具体的な条件を定めた法律は存在しない。
ドイツでは自殺幇助は倫理的に認められておらず、意識を失っていく患者に対して医師が何もしなければ、罪に問われる可能性もある。
英国、アイルランド、フランスでは自殺幇助が違法とされているが、裁判に持ち込まれたケースもある。
欧州12カ国で実施した意識調査では、幇助自殺の合法化に賛成する回答が過半数を占めた。