時が止まった町プリピャチ、チェルノブイリ事故から28年
(CNN) ウクライナの町プリピャチは、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故以来、時が止まったままのような状態にある。
旧ソ連のチェルノブイリ原発から3.2キロの距離にあるプリピャチには事故当時、約4万9000人が住んでいた。住民が避難して30年近くたつ今も、学校や住宅、工場、公園などがそのままの姿で取り残されている。
映像カメラマンのダニー・クークさんはカメラと放射線測定器を手に今年6月、プリピャチとチェルノブイリを取材し、学校や住宅などを歩き回って内部の様子を撮影。無人機がとらえた映像で構成する3分間のビデオを公開した。
自身は事故当時、イタリアに住んでいて、まだ幼かったが事故のことはよく覚えているという。「核の粉塵(ふんじん)が私たちのところにまで到達した。イタリアの警察は地元の農産物をすべて廃棄し、母は幼かった私のためにできる限りのミルクを買いに走った」「避難を強いられたウクライナの人たちがどれほど恐ろしい思いをしたのかは想像を絶する」
今回の取材は、人生観を変えるような経験になったと振り返る。「この区域に近付いて、目に見えない放射線が上昇するのを確認したが、体が心に反応した。頭の中では自分は間違った選択をしたのかもしれないと思っていた」
「もう引き返すには遅かった。でもこの区域に入ったことは後悔しない。プリピャチの学校の給食室の光景は一生忘れないだろう」。クークさんはそう話している。