メキシコ当局、脱獄の麻薬王を拘束 急襲作戦で
(CNN) メキシコ当局は8日、同国北西部シナロア州ロスモチスで海軍による急襲作戦を行い、昨年7月にメキシコ市郊外の刑務所を脱獄した「麻薬王」、ホアキン・グスマン受刑者の身柄を再び確保した。
メキシコ捜査当局の高官によれば、作戦を行ったメキシコ海軍隊員らが現地時間同日午前4時30分、グスマン受刑者の身柄を確保。海軍はこの作戦で、同受刑者の仲間5人を殺害、6人を逮捕したとしている。海軍隊員は1人が負傷した。
ペニャニエト大統領はツイッターで、「作戦は完遂した」「彼を捕らえた」と発表。「我が国の組織は今日、市民が信頼できるものであることを改めて示した」などと述べ、同受刑者の再拘束は、政府や司法制度へのメキシコ人の信頼を取り戻すことにつながるとの見方を示した。
グスマン受刑者の脱獄は、メキシコ政府の不手際と腐敗の象徴と多くから目されていただけに、再拘束はメキシコにとって大きな成功を意味する。
グスマン受刑者はメキシコ最大の麻薬組織のトップであり、2度にわたり最高警備レベルの刑務所から脱獄。2度目となる昨年7月の脱獄では、房室に空けた穴から約1.6キロのトンネルを通じ脱出していた。
昨年の脱獄では、大物犯罪者を管理するメキシコ政府の能力をめぐり批判が続出。グスマン受刑者は米国が拘束すべきだったとの声も上がっていた。
捜査当局者は、グスマン受刑者がシナロア州にいたのは驚きではないと指摘。「彼がシナロアにいるとの見方はあった。あそこは彼が身を寄せる場所だ。シナロアでない場所に潜伏していたら驚いただろう」と述べた。
米司法省は以前にもグスマン受刑者の身柄を米国に引き渡すことを求めており、再び引き渡しを要求する可能性もある。