ロシア、米国の「ばかげた」弁明を非難 モスルの民間人犠牲で
(CNN) 米軍主導の有志連合によるイラク北部モスルの奪還作戦で多数の民間人が死亡したとの報告をめぐり、ロシア国防省は2日、米国の対応を厳しく批判する声明を出した。
有志連合は過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」に支配されたモスル西部で奪還作戦を展開してきた。米軍は先月17日に実施した同市アルジャディダ地区での空爆で民間人100人以上が死亡したとの情報を受け、詳しい調査に乗り出している。
有志連合の広報を担当するスクロッカ米軍大佐は先週、ISISが民間人をひそかに集めたうえでその建物への攻撃を誘う戦術に出ていることが、監視カメラの映像で分かったと話していた。ただ、その映像自体は公開されていない。
ロシア国防省の声明はこの発言について、民間人の犠牲者が出たことを「正当化」する「ばかげた」理屈だと批判。米国がISISの新たな戦術を把握していたというのなら、なぜその情報を公開しなかったのか、問題の空爆自体をなぜ実行したのかと問い掛けた。
中東での軍事作戦をめぐっては、ロシアが2015年末にシリア反体制派への空爆を開始したのに対し、米国が「無差別攻撃」との批判を繰り返してきた。2日の声明では、その立場が逆転した形だ。
ロシアは先週、ティラーソン米国務長官が同国のウクライナ「侵略」を北大西洋条約機構(NATO)で協議するべきだと発言したことに対しても、強い反発を示していた。
トランプ政権は当初、ロシアとの関係改善を目指していたが、その実現は難しくなったとの見方が強い。