北朝鮮、米空母の派遣に警告 対抗措置を示唆
(CNN) 米海軍の空母カール・ビンソンが朝鮮半島へ向かったことを受け、北朝鮮は10日、米国による「武力侵略の暴挙」に対して「米国の望むあらゆる措置」で応じるとの声明を発表した。
米国防総省は北朝鮮が新たなミサイル実験を行ったことを受け、カール・ビンソンと誘導ミサイル巡洋艦1隻、駆逐艦2隻の艦隊を朝鮮半島に派遣した。
CNNが入手した声明の中で、北朝鮮は、「現在の重大な状況」を理由として、「核兵器を中心とする自衛および先制攻撃能力」を持つことは正当化できると主張。「威圧的で凶暴な行為によってもたらされるであろう壊滅的結末について、米国に全責任を負わせる」としている。
北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は11日、国会に相当する最高人民会議に出席する。15日は正恩氏の祖父の故・金日成(キムイルソン)主席の生誕日に当たり、北朝鮮が再びミサイル実験や核実験を実施するかもしれないとの観測も高まっている。
米空母カール・ビンソンは乗員約5000人と航空機60機を搭載。全艦隊で相当規模の威力や攻撃力を備える。艦隊の派遣について専門家の多くは、北朝鮮が発射するミサイルの迎撃に踏み切る可能性もあるとの見方を示す。
米シンクタンク、ランド研究所の専門家によると、カール・ビンソンに同行する3隻の艦船は、合計で300を超すミサイル管と、ミサイル迎撃システム「イージス」を装備しており、「もし北朝鮮が弾道ミサイルを日本海に向けて発射すれば、この艦船でミサイルを迎撃できる能力がある」という。
オーストラリアのグリフィス・アジア研究所の専門家は、「カール・ビンソン艦隊は在日米軍基地ではなく、ハワイで指揮を取っている。つまり日本や韓国ではなく、米国の作戦であることは明らかだ」「これで日本や韓国と関連付けることは難しくなり、北朝鮮が両国に矛先を向ける可能性は限定される」と解説している。