米軍、トルコ・シリア国境をパトロール クルド人空爆受け
(CNN) トルコとシリアの国境付近で先週以来、米軍部隊がパトロールを実施していることが1日までに分かった。トルコ軍が先週、クルド人組織の拠点に対して実施した越境空爆を受けた動きとされる。
トルコ軍は25日、イラク北部とシリア北東部で少数民族クルド人の非合法組織「クルディスタン労働党(PKK)」の拠点を狙ったとする空爆を実施した。
しかし空爆の死者には、シリアのクルド人民兵組織「人民防衛隊(YPG)」など、この地域で過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」と戦う親米勢力のクルド人が含まれていたとみられ、国境付近での緊張が高まっていた。
トルコ当局はYPGについて、PKKのシリア支部との認識を示している。
米軍主導の対ISIS有志連合司令部は声明で、YPGを主力とする合同部隊「シリア民主郡(SDF)」とトルコ軍はともに、ISISと戦ううえで重要なパートナーだと強調。パートナー同士の衝突激化という事態を防ぐのが、パトロールの目的だと述べた。
声明はYPGとトルコの双方に対してISISとの戦いに集中するよう呼び掛け、「ISISは地域の、そして全世界の平和と安定に対する最大の脅威だ」と強調した。
米当局者がCNNに語ったところによると、米軍特殊部隊などが28日から、装甲車を使ったパトロールを開始した。透明性を確保するため、車両には米国旗が掲げられているという。
一方トルコのエルドアン大統領は、米国旗を掲げた車列の存在に「重大な懸念」を表明。今月16日に米首都ワシントンで予定されるトランプ米大統領との会談でもこの問題を持ち出す構えを示し、米国はYPGとの連携を断ち切るべきだと主張している。