頭の回転を早くする英語体得
言語はどう処理され音声化されるのか
そもそも脳はどう言語を処理し、口元に言葉を運ぶのだろうか。
言語活動を支える中枢は大脳にある。驚くべきことに大脳は30週を越える胎児の脳ですでに発達を始める。羊水を通じて胎児はすでに言語の聞き分け能力を身につける。大脳にある言語野は新生児として生まれる前から胎児の段階で育っていることになる。
この大脳が主役となり、言語が理解され、音声化される。このシステムを担うのが大脳内部にある二つの中枢だ。一つはウェルニッケ中枢、もうひとつはブローカー中枢である。
まず目から入った情報はウェルニッケ中枢へ送られる。見たものを音声化する時に、その情報はウェルニッケ中枢からブローカー中枢へと送られる。自分で音声化した情報は自分の耳で捉えられ、再度、ウェルニッケ中枢が、アウトプットがうまくいっているかどうかを判断する。よって、情報認識の流れは次のようにまとめられる。
見て→音声で発して→自分が音声化した言葉が自分の耳に入り再度確認される
この一連の作業ラインを繰り返せば繰り返すほど、言葉は定着し脳に溜まっていく。
ただここに1つだけ残念なことがある。それは母語の習得の場合は、無意識にこの運動が行われるため言葉も自然に習得されるが、残念ながら、外国語の場合は母語のようにはいかない。外国語を習得するためには、母語と同じ作業ラインに言葉を載せるが、ひたすら繰り返すことによって、染み込ませて行かねばならない。
つまり、見たものを口に出し、口に出した言葉が自分の耳にナチュラルに聞こえることで外国語が獲得されていく。それが現実であり事実のようだ。だからこそ、言語脳を筋肉のように反復の力で育てていく必要がある。この”ウェルニッケ中枢→ブローカー中枢”の情報移動を繰り返すことで、目から情報を入れ、口に出す流れを習慣化してしまうことが脳科学的にも適切な語学体得法となる。
これを鍛える最強の手段は、実は”音読”だ。テキストを見て、自分の声で読んで耳に入れるわけだから、見て→発して→聞くの作業ラインを使わなければならない。音読によって、正しい努力に見合う、正しい効果が期待できる。ここでもう一度点検しなければならないのは、あなたが英語を勉強している時に、声を出しているかどうかである。ただ音声を聞いていたり、参考書を黙読しているだけの学習法ならば、ウェルニッケ中枢のみの刺激でブローカー中枢を刺激していない片手落ちの学習法となってしまっている。これでは自分が英語学習をいくらがんばっているつもりでも、ブローカー中枢を遊ばせているので英語がうまく話せないのは至極当然の帰結となる。
声を出していないうちは受け身の学習であり、声を出す能動を加えて初めて体得になる。受け身の学習はここで終わりにしなければならない。