頭の回転を早くする英語体得
言語脳の効果的な鍛え方
音読を通じて大脳刺激をもっと活発にするために、“Para-language”の刺激強化が必要となる。“Para-language”とは発声言語の音に影のようにつきまとうおまけ効果のことだ。
例えば、同じ声でも出し方によっては、機嫌が悪く聞こえてみたり、またはその逆に機嫌が良く聞こえたりする。またスピードも早めることもできれば遅くすることだってできる。
外国語学習では、映像がある場合はモデルとなるネイティブスピーカーのしぐさ、抑揚そのものを忠実に真似るべきだ。ジェスチャーはもちろん、声色、スピード、間のとり方のすべてを真似るのだ。「英語の意味は音にある」という名言があるように、早く読めばせっかちな感じを出せるし、遅く読めば優雅な感じや安心感を出すこともできる。伝えようとするスピードや抑揚にも意味があることを脳に教えこまねばならない。棒読みは絶対にやってはいけないということになる。むしろ、在宅であれば、恥ずかしがらず真似るべきモデルになり切ってどんどん発声していくべきだ。
脳のオン・オフを上手に使い分ける
情報を受けている間とリラックスしている間にのみ、脳はヒラメキを生むとされている。
つまり脳は、負荷が軽くかかっている時と、負荷がかかっていない時に、ヒラメキを出す仕組みになっている。
自分の脳をフル回転させるには”脳は疲れたら寝かせる”のがいい。一流企業のトップや芸術家など、クリエイティブな仕事の第一線にいる方に共通な仕事術は、集中豪雨的に仕事をして、疲れたと感じたその瞬間に、作業を中断し、仮眠をする人が多い。脳を一旦休ませて、再度働かせる習慣をつけることで、より活性化させられるのだ。
3日坊主で何をやっても長く続かないという人には朗報で、3日坊主も100日続ければ300日坊主になるのだから、飽きたら休んで、また再開すればいいだけだ。
外国語を習得するための脳の使い方も同様のことが言える。
実際、音読をしている間は脳に負荷がかかる。それは情報を受けているからだ。ただ、読んでいる意味がだんだんわかってくると、自然と自分が出す音が変わってくる。“Para-language”が変わってくる。悲しい内容のものは悲しいトーンで、嬉しい場合は嬉しいトーンで読んでいるものだ。“Para-language”を通じて、自分に読んでいる英語が脳に染み込んだかどうかが分かる。それは、意味が分からない英文は感情移入して読めないからだ。
感情を伴った言葉が脳に入ると、感情が脳にくっつき、言葉が逃げて行かない。言葉に感情が宿った時、それは借り物の言葉でなく自分の言葉になったと認めていい。
語学学習も音読をベースに続け、飽きたら休みリラックスし、また再開したいころにはじめればいい。緊張とリラックスを上手に使い分け、脳のONとOFFのメリハリをつけながら勉強するのが理想的ということになる。
【著者紹介】
溝江 達英(みぞえ たつひで)
カナダ ラヴァル大学文学部日本語科主任
早稲田大学第一文学部、一橋大学大学院言語社会研究科を経て、カナダ ラヴァル大学文学部言語学科博士課程修了。言語学博士(Ph.D)
英語スピーチコンテスト優勝経験を持つ。英語に加え、仏、独、西、伊、露語も堪能な言語学者である。