発音美人養成講座
英語らしく音を響かせるコツ
背景知識を強めれば相手の言っていることは確かに、だんだん推測でわかってくる。しかし、相手に分かってもらえない発音をゴリ押しして、わかってくれとお願いし続けるわけにもいかない。日本人は相手が察してくれることを期待する相手任せの会話の流れを作ることが多い。発音が悪くても相手が何とか推測して分かってくれるだろうと思ってしまいがちだ。なんとか筆談で分かって貰えればそれも一時しのぎの策だが、電話の場合はさすがに筆談もできない。
苦手な発音があれば、やはり、工夫して改善を試みる。ものまね上手な人なら、何度か、生の発音を聞いて、聞こえるままにリピートして自分のものにしてしまう人もいるだろう。でも、みんながみんなそうではない。そこで、役に立つのが一般音声学の知識である。英語発音を磨く上で今からすぐにできること3つを書きだしてみる。
1:メリハリをつけた強弱を心がける
tennis はカタカナで書くとテ・二・スで三拍になる。ただ、英語をリズムでとらえると、TEN・NISと二拍。まず日英でリズムそのものが違う。英語のTEN・nisを発音する時は、テ(強)ニス(弱)と先を強く後を弱く発音するが、日本語で言うテニスは平板化してしまう。だから、英語を日本語風に平板に読むことをまずやめよう。
2 音の同化・脱落を意識的に
What’s your name ?のアポストロフィーSとyourのYが同化してチュみたいに聞こえたことがあるだろう。このように音が結合し別種の音ができることを同化と呼ぶ。また似たような発音が続く場合、初発の類似音が抜けてしまうこともある。Take care! だと、テイクのクがケアーのケと同じK系列の音なので、テイクのクが脱落して、テイ・ケアーのように聞こえる。このように似た音の片方が脱落する現象をリスニングの際に気をつけて聞き取り、自分が発音する時に活かしてみよう。
3:舌と唇の動きを確認
例えば、数字の三(SAN)は、単独で発音する時、最後のNは、前歯の裏に舌先が付いてできる音だと確認できる。だが、数助詞の【枚】を後ろにつけて、【三枚】と発音する時の【三】は、上唇と下唇が一度くっついて、舌先は単独で【三】を言った時のように歯の裏にはくっついていない。
このことから分かるように、文字は舌や唇の動きまでは教えてくれない。だから文字を信頼しすぎてはいけない。黙読はもうやめよう。英単語の【little】を発音する時、この単語の中に二つLが入っているが、最初のLは明るく、前歯裏に舌が付いて発音され、後ろのLは暗く、母音的で舌がどこにもつかない。黙読では舌の動きなど分からない。【リトル】ではなくむしろ【リィトォー】に近い発音だ。こうして、生の音を聞き、ネイティブの舌と口の動かし方を観察し、自分でも真似てみることが大事になってくる。