「世界経済は不安のベールに覆われている」 IMF専務理事
(CNN) 東京で開かれている国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会のため来日中のラガルトIMF専務理事は11日、世界経済は「不安のベール」に覆われていると述べた。
専務理事は、不安定な状況が低成長につながると指摘し、「不安のベールを取り去るための行動が必要だ」と主張した。
世界の金融システムについては、リーマン・ショックから4年経った今も危機は続いており、ヘッジファンドや規制対象外のデリバティブ(金融派生商品)の取引など、規制の枠外にある「影の金融システム」が影を落としていると述べた。「例えばデリバティブでは、監督当局が知っているべきなのに分からない点や不透明な点が多いのを私は懸念している」と専務理事は言う。
IMFが今年の世界の経済成長見通しを3.3%に引き下げたことについては、ラガルド専務理事は「(景気の減速は)先進国の経済だけでなく、発展途上国、特にアジア諸国にも影響を及ぼしている」と述べた。
欧州中央銀行(ECB)による国債購入プログラムを初めとする最近の各国の中銀の動きについては、景気回復に弾みを付けるものと評価。金融システムへの制度的リスクを減らすためには「勇気ある、協力的な施策」が求められると語った。
ラガルド専務理事は、財政赤字や国債に対する米政府の政略が見えてこない点も「不安のベール」の原因になっていると語った。
また、中国と日本の領土問題も世界経済の不安定要因になっていると指摘。「世界のどんな場所のどんな不安定さも悪影響をもたらす」と専務理事は述べた。