UAEに涼もたらす「風の塔」、現代風にアレンジ
欧州ではこの10~15年、エネルギーコストの高騰を受けて、アラブ流の「風の塔」を現代風にアレンジしたデザインが流行してきた。これを受けて、エアコン一辺倒だったドバイでも近年、伝統的な空調方法を見直す動きが広がっている。「風の塔」のデザインは、欧州経由で再び中東に回帰しつつあるのだ。
UAEのアブダビ郊外にあるマスダール科学技術研究所(MIST)には、このような現代版「風の塔」があり、目を奪うような壮観を呈している。高さ45メートルにおよぶタワーの一部に地元の伝統的な様式を組み込んでおり、これによってキャンパスの共有空間を冷却、換気している。
エネルギー消費の増加に頭を悩ませる中東だが、その答えは足元にあった。ヒューズ氏は、最小の費用で空間を快適に保とうとすれば、「風の塔」を採用することになるだろうと語る。
同氏は「エネルギー価格が高騰しどこに金を使うかの意思決定が難しくなる中、快適な環境を提供するためには、従来とは全く異なる発想が求められる。だからこそ、伝統的なテクノロジーを再び駆使して21世紀に持ち込むのだ」と胸を張った。